泊まりがけで本格フライフィッシング〜森風美の釣り修行記〜
はじめまして!千葉生まれ湘南育ち、海とキャンプを愛する女子キャンパー森 風美(もり ふうみ)です。
いろんな釣りを教えていただきながら、一人前の釣り人を目指す「森風美の釣り修行記」
今回は、自然渓流の中に入り、英国紳士のスポーツであるフライフィッシングに挑戦してきました!
アウトドア好きなら1度は憧れるフライフィッシング。そして駆け引きの末に釣りあげた魚には敬意を持ち、その場でリリースしなければいけないフライフィッシング。
いまだに「魚を釣って食べる釣り」に魅力を感じている私に、魚との駆け引きを楽しむことは出来るのでしょうか…。
これまでは日帰りでの釣行でしたが、今回はなんと泊まりがけ!栃木県日光市にあるワイルドフィールズおじかの可愛いログハウスに宿泊します。
「泊まりまでしないと釣れないのだろうか……」という不安が頭をよぎりますが、今回の釣り師匠はJointerスタッフであり、フライフィッシングのエキスパートでもある曳地弘成さん!
フライフィッシング専門誌にも度々登場されているプロ中のプロの方。大船に乗った気持ちで釣りに行きたいと思います。
【釣り1日目、スタート!】
熊よけの鈴をチリンチリンと鳴らしながら、山に入ること数十分。釣り開始前からすでに疲れ気味の私ですが、ようやく川とご対面。
今回使うのは前回、前々回と慣れ親しんだSprout(スプラウト)ではなく、Sparrow grass(スパローグラス)というグラスフライロッド(竿)。
7フィート(約2m13cm)という長さですが、収納すると40cmと、携帯しやすい1本です。
さて、さっそくテンカラ釣りと同じ要領で投げてみますが、そう簡単には行きません。
竿の先から糸が出ているテンカラ釣りと違い、フライフィッシングはリールに巻かれた長い糸が、ガイドを通して先端から出てきます。
この自由自在になる糸こそがフライフィッシングの醍醐味であり、拡張性の高さなのですが、いかんせん初心者の私には扱いにくい。
絡まる要素も単純に増えているので、糸繰りに時間がかかります。
師匠、曳地さんのキャスティング(投げ方)を影から学びます。
本来ならこのように巧みに糸に力を伝え、遠くのポイントにフライ(疑似餌)を落とすもの。この糸さばきが、縄を操るカウボーイみたいな感じで本当にかっこいいんです!!
フライフィッシングの利点を全く生かせないまま、投げる練習だけを続けている間にも、曳地さんは可愛いサイズのイワナを次々と釣り上げています。
もはや今日は素振りの練習だけに徹した方がいいんじゃないかと思ったその時、本日初のHIT!!
近くから投げ方を指導してくれていた、曳地さんを釣ってしまいました……。ごめんなさい……。
針が頭に当たると危ないので、フライフィッシングの際は必ず帽子をかぶりましょう。
【なんでこんなに釣れないの?】
それらしく投げられるようになってきたものの、アタリすらない今回の釣り。「これが自然渓流の難しさかー」と思っていた頃、他の釣り人さんに出会いました。
その方達はエサ釣りをされていて、たった今私たちが釣っている川を登りながら釣り、Uターンして降りながら釣ってこられたそう!
もちろん自然渓流という難しさもありますが、それにプラスして先行者がいては、魚が警戒してしまって釣れないのも無理はありません。
結果、釣り始めてから7時間ほど粘りましたが、今日の釣果は0。曳地さんが4匹釣れているのはプロだからで、私が下手なわけではありません!たぶん!!
ログハウス泊の利点を生かして、明日は先行者が入る前に釣りを開始することを誓って、終了となりました。
【夜ご飯、薪ストーブ、タイイング】
さて、コテージに戻って夕食に。渓流の中をひたすら歩いていたのでお腹はペコペコ。つまみ食いをしながらカレーを作りました。運動後のごはんってなんでこんなにおいしいんだろう!
キャンプも楽しいけど、ログハウスにはコンロも蛇口も冷蔵庫も調理器具も何から何まで揃っていてものすごく楽でした。釣りがメインの時は、手軽にログハウスに泊まるのがいいかもしれません。
食事の後はログハウスについている薪ストーブに火をいれました。炎を見ながら一瞬睡魔に襲われましたが、今日はこれからタイイングを教えてもらいます。
タイイングとは、フライフィッシングで使うフライを自分で作ること。
それぞれの虫に模したフライを、自分で作って使う。これもフライフィッシングの楽しみのひとつなんです。
タイイングもフライフィッシングと同様に奥が深く、「こうした方が魚の反応がいいかな」「この部分がこだわりなんだよ」とお酒を飲みながらじっくりフライを作る作業に憧れる方も多いそう。
今回は、春から初夏にかけて羽化するカゲロウを模した「メイフライ」を寄り目になりながら、作って行きます。
これがかなり面白くて!!
鹿の毛や鳥の羽根などを、針にぐるぐると巻きつけながら作っていくのですが、はじめは「これのどこが虫っぽいんだろう」と半信半疑。
でも作り進めていくうちに「あぁ、なるほど!さっき巻いたこの鳥の羽根が虫の腹になるのか!!」とワクワクしてくるんです!
30分も夢中になって作った、森風美 初のオリジナルフライがこちら!
曳地さんにもお褒めいただいたセルフメイド・メイフライ。明日はこれを使って、必ずや釣り上げたいと思います!
【2日目はあいにくの雨スタート】
さて、他の釣り人に先を行かれないよう、早起きして始まった釣りですが、この日はあいにくの雨。
気温が低いとフライが擬態するはずの虫が少なく、魚の活性も下がってしまうそう。せっかくのオリジナルフライにも関わらず、わたしの活性もだいぶ低く始まりました。
そんな悪条件にも関わらず、曳地さんはいきなり大っきなイワナをGET!!キラキラと光っていてとっても綺麗です。使っている竿は老舗ロッドメーカーCampanellaとJointerのコラボアイテム。曳地さんも開発に携わっているそう。
その後は、「あとは森風美が釣るだけだ…」というプレッシャーの中4時間が経過して、あっという間にお昼休みに。
Jointerの可愛いヤマメシェラカップでこんもりカップ麺をいただきます。ヤマメ見えないけど。
全く釣れない上に、長時間歩き回り、さらに寒さで手がかじかんで、と疲労困憊の私でしたが、このとき食べたカップ麺は人生で1番の美味しさ。どうにか元気を取り戻しました。
そして、いつの間にか雨も上がって気持ちいい天気に!気温の上昇とともに、周りに飛ぶ虫も増えて、フライフィッシングにいい条件が揃ってきました。虫が飛んでいるのをこんなに喜ぶことになるとは……。
私がお昼を食べている間にも、曳地さんは釣れそうなポイントを下見してくださり、1匹イワナが佇んでいるという場所に案内してくださいました。
「森風美に1本釣らせないと帰れない」というプレッシャーの中、魚を狙うこと数投。今回の釣りで初めてのフライに食いついた感覚が!
しかし、ここにきてアワセ(魚の食いつきをしっかり針にかけること)を全く念頭に置いてなかった私。大慌てでロッドを上げてしまい、逃がしてしまいました。
それでも粘ること20投。もう魚が警戒してしまってダメかな……というところまできて、なんと!釣り上げられたんです!!
もう私もカメラマンさんも喜びすぎて、釣り上げる瞬間の写真が一切撮れてないのですが、こちら!!こちらが今回釣れたイワナちゃんです!!
嬉しすぎて何枚も何枚も写真を撮りました。
君1匹のために2日間頑張ったんだよー。もう、釣られてくれてありがとう、私のためにかかってくれてありがとう。私なんかが作ったフライに付き合ってくれてありがとう。
ポイントを教えてくださった曳地さん、いつ釣れるかわからないのにずっとカメラを構えてくださったカメラマンさん、そして何回もバラしてしまったのにしぶとく食いついてくれたイワナさん、本当にありがとうございました!!!
1匹を釣り上げる難しさがある分、その1匹釣り上げた時の喜びもひとしお。この一瞬だけで、何時間も渓流を歩き、投げる練習をし、フライを作った努力が報われた気がしました。
管理釣り場のようにたくさん釣れる釣りももちろん楽しいけれど、自然の中でこうやって粘りに粘る釣りも楽しいなと初めて思えました。
この感覚、この達成感…!もう1泊したい……!!と思いながらも、今回の釣り修行は終了。
シンプルで投げやすいテンカラ釣りと、難しいけど拡張性の高いフライフィッシング。曳地さんのようにうまく投げられるようになるにはそれこそ何年もかかるんだろうけど、やっぱりあの投げ姿には憧れちゃいます。
Jointerのフライフィッシングロッドは、今回私が使ったコンパクトなものから、曳地さんが使っていた本格的なものまで様々。自分のスタイルに合わせてお気に入りの1本を見つけてみてください!
次回は淡水を抜け出して海水に行きます!たぶん。